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つらつらと自分が観たものの感想を書いていくブログ。

【映画感想】ヘイル、シーザー!【ネタバレあり】

 

映画館で予告見て気になってたこの作品,本日見てきましたー

肝心の予告はこれね↓

で、この予告が問題なんですよ。

この予告を見てどういう感想を持つかは人それぞれだと思います。

ワタシは,「ああこの作品はジョージ・クルーニーを助けるためにスカーレット・ヨハンソンが色仕掛けしたりチャニング・テイタムがマッスルパワーでドタバタするのかなあ」とか思っていたのですが,ところがどっこい。

とんだ予告詐欺だったのです。

まあコーエン兄弟の作品って聞いて上記のイメージをする僕も悪いんですが。

・概要

 原題:HAIL,CAESAR!

上映時間:106分

 

 

・評価

星2つ・・・★★(他に見る映画がなければ。)

 

★★★・・・是非時間を作って映画館に足を運んでほしい作品。

★★・・・どの映画を見ようか迷っていたらお勧めしたい作品。

★・・・ほかにやることがなかったら暇つぶしにどうかな,という作品。

星なし・・・個人的にお勧めしません。好きでしたらどうぞ。

 

・話が進むほどに感じる違和感

前述したとおり,私の中では「個性あふれるスターたちが難事件を解決」するお話のつもりでいたのですが,蓋を開けてみると実際は誘拐事件自体に関わる役は全員ではなく,そもそも誘拐事件自体は物語全体を構成する一要素に過ぎないのです。

この話のミソは,すたれゆく混迷の50年代ハリウッドで奮闘するジョシュ・ブラウン演じるエディ・マニックスの生き様なのです。

 

50年代はテレビの台頭とそれに呼応する形での映画の大作派への偏り,そして常に付きまとう赤(共産主義)の脅威の時代です。

本来華やかな世界である映画業界の暗い時代,そんな時代でエディはさまざまなトラブルを解決する何でも屋として映画業界を支えてきました。

そんな時,他業界から引き抜きの声がかかります。このまま夢に生きてつらい斜陽の世界で生きるか,それとも安定した業界に入るのか。

そんな悩みの中に生きる男が様々な難問にぶつかりながら「映画愛」を再確認する…

そういう話です。

 

だから,各スターの活躍も単発形式,基本的にはかかわらないしすべてエディという点を通してのみ紐づいています。予告みたいに「スカーレット姉さん色仕掛けでひとつたのんますぜ,へへへ」見たいなシーンはありません。

こんな半分群像劇じみた,そして強烈なバックグラウンドの知識が必要な映画を

「わー面白そうなコメディーだー」という心もちで見に行ってしまったらどうなるのか,それが私です。

 

話がようやく誘拐に絡んだと思ったら解決に関して特別な動きは一切なしなので別の映画を見に着たのか心配になりました。予告詐欺なだけだったのですが。

 

予告詐欺

そうなんです。この映画はまごうことなき予告詐欺映画だと思います。

「洋画の日本向け広告がぜんぜん内容と違う」というと最近はベイマックスとかアベンジャーズ2とかが有名でしたが(愛がどうのってヤツね)あの2作は少なくとも作品の一要素を強烈にピックアップしてるだけで嘘はついてないと思います。グレーゾーンなのは間違いないですが(ベイマックスはあれでもアリだと思うので、アクションシーン版と2ver.用意すればいいのにとか思ってました)。

 

この映画のだめなところは劇中に一切ない要素を予告内で名言しているところです(0:44~0:45あたり)。

ちなみにもとのオフィシャルトレーラーはこんな感じ。

 見比べてもらえればわかるように「大捜索で頼れるのは個性あふれるスターたち」

なんてナレーションが入っているのは日本版だけです。

ただ,もともとの予告の構成自体が「大捜索~」を想起させる内容にも見える作り方をされているようにも見えます。

 

ただ肝心なのはそのことを明言しているわけではなく,視聴者がそうじゃないかと勝手に思っているだけだということです。

古今東西,予告(あるいはCM)においてもともとの作品を切り貼りしてぜんぜん違うものに仕立て上げていることはよくあります。

 このトレーラーも無関係なシーンがまるで連続しているように作られています。

 

しかし,言い方が悪いですが それは視聴者が勝手にだまされただけなのです。106分の魅力を詰め込んだ結果、そうなってしまった…ということなのです。

 

その点,今回の日本版トレーラーは悪意のある嘘を明確についており,それ自体も作品の路線から大きく外れているものです。正直,こんなことをわざわざすることは理解に苦しみます。

 

確かに,(共産主義が暗幕する世界で)おっさんが映画トラブルを解決するなんて映画よりエンターテイメント大作ぽさはでたかもしれません。

しかし,その結果観客から「面白くなかった」という評価をつけられてしまってはあんまりだと思います。

正直,個人的には50年代という時代さえわかっていればそこまで理解が難しい映画ではないと思うのでどういう気持ちで映画に向きあうか,そこしだいでこの映画を楽しめるかが決まっていると思います(途中から予告の内容とは乖離しているのに気づいたのでそこからは普通に楽しかったですし)。

 

ですが,せっかくなのでこれから見る方には登場人物のモデル等々調べてから見られたほうがより楽しめると思います。

 

とりあえず,今回は本当に「予告の大切さ」というのを思い知った映画でした。