DATE-Ztonのブログ-思いついたらレビュー-

つらつらと自分が観たものの感想を書いていくブログ。

【映画感想】キャロル【ネタバレなし】

「キャロル」見てきたので早速レビューします。

ちなみに原作がありますが,未読です。あくまで映画のみを見たレビューになります。

・概要

原題:CAROL

上映時間:118分

 

STORY:1952年のニューヨークが舞台。

百貨店の玩具売り場で働くテレーズ・ベリベット(ルーニー・マーラ)はボーイフレンドのリチャード(ジェイク・レイシー)から求婚されるも明確な答えを出せない日々を過ごしていた。そんなある日,玩具売り場に娘へのクリスマスプレゼントを買いに来た魅力的な女性,キャロル・エアード(ケイト・ブランシェット)が現れる。

ひょんなことからキャロルとランチをともにすることになったテレーズは彼女の内面を知ることによって,だんだんと惹かれていくのだった。

 

 

・評価

星3つ・・・★★★(他に見る映画がなければ是非。)

 

★★★・・・是非時間を作って映画館に足を運んでほしい作品。

★★・・・どの映画を見ようか迷っていたらお勧めしたい作品。

★・・・ほかにやることがなかったら暇つぶしにどうかな,という作品。

星なし・・・個人的にお勧めしません。好きでしたらどうぞ。

 

・前提として

最初に言っておきます。「浮気」「同性愛」このあたりにフィクションでも嫌悪感感じる人は

この映画を見ないほうがいい,というか見ても楽しくないと思います。あといわゆる「からみ」のシーンがあります。嫌な人はすぐにブラウザバック推奨。

なぜなら,全体通して主人公たちは結構そこらへんルーズだからです(というかそういう風に見える)。そもそも,テレーズは彼氏持ちだし,キャロルは人妻だし。

時代背景から,世間の目が冷たい秘められた同姓愛にスポットをあてた作品といった売り出し方ですが,個人的には映画のミソは「同性愛」におかれていない,と感じました(パンフ見る限りあくまでポイントは同性愛みたいですが)。

 

・主人公二人に集約する映画

この映画はほぼ全編主人公二人のことしか描かれません。二人とも彼氏もち,家庭ありの中での恋ですからそれは様々な人間模様が描かれる,と思いきやあくまで他の人物は添え物。

群像劇のような描かれ方はせず二人の感情を表現するための演出にしか過ぎません。

では,その二人の描かれ方はというと、大人と子どもの対比で描かれているのかなと感じました。

 

・「子ども」のテレーズと「悪い大人」のキャロル

初期のテレーズは彼氏から求婚されるも答えを出せません。趣味の写真も仕事にしたいかわかりません。ついでに新聞記者の彼氏の友人に言い寄られてもキスは拒まないけど微妙な返答・・・(そのことを知らない彼氏カワイソス)。

本人も作中で決断力のなさををキャロルに告白してますが,優柔不断,というかモラトリアムばりばりの人間です。やりたいこともある程度はわかっているけど踏み出す勇気がない。このダラダラさ加減は子どものときに誰もが一度は経験すると思うんですよねー(だからこそイライラする人がいそう)。

 

たいして,キャロルは世間体しか大切にしない旦那に嫌気がさして離婚手続き中。大事な娘がいながらも満たされない日々を送っていました。そんな中自分のことを見つめてくる若くてかわいい垢抜けない女の子がいたら・・・手を出すのが実に悪い女です。

最初はノリノリでテレーズにアピールしていくキャロルですが,段々とテレーズの存在が自分の中で大きなウェイトを占めていくようになります。たいしてテレーズもキャロルという今までにない人との出会い,そしてその少し背徳的(と当時は考えられた)性癖を匂わせるところに惹かれていきます。

 

この流れ,まんま悪い大人が子どもを火遊びに誘う流れと一緒なんですよね,ちょっと冒険しちゃえみたいな。テレーズはこのままだと彼氏と結婚しちゃいそうだけど,それがベストとはちっとも思わないんですよね。「こんなのが私じゃないッ!」みたいな。

映画が進むにつれ,二人ともこれが「本当の恋!」みたいなテンションになっていくんですが

火遊びに本気になっちゃてるだけな気も。

ここだけだったらちょっと冷めちゃったかも知れませんが面白いのはここから。

 

・ちゃんと子どもを大人にする

この映画のよかったところはこのテレーズの成長をしっかりと描くことに終始していたからなんですね,もちろんそこにはキャロルの大人としての成長もはいるんだけども,やっぱり重要なのはテレーズ。周りの人間関係がテレーズの心の鏡として表現されてくるから話が進むとドンドンと変化していきます。それが本当に丁寧だと思う。テレーズの視線の動きとか,テレーズの態度に対する周りの反応とか。テレーズが完璧な少女という年ではないからこそ,心の成長というのが如実に感じられますね。まあまとめるとルーニー・マーラがかわいいってことですか,違いますか。

 

内容的に少しエロティックだし,結構ナイーブな部分も描かれますが高校生,大学生ぐらいに一番見てほしい映画だと感じました。PG12だし,大丈夫だよね。

前提に不快感がない方は是非映画館に足を運んでみてください。