DATE-Ztonのブログ-思いついたらレビュー-

つらつらと自分が観たものの感想を書いていくブログ。

【映画感想】ズートピア【ネタバレあり】

ベイマックス以来のディズニー映画。

見に行くのちょっと恥ずかしかった…


『ズートピア』予告編

・概要

原  題:ZOOTOPIA

上映時間:108分

環  境:TCX

 

 

・評価

星2つ・・・★★(とりあえず見といて損はありません。)

 

★★★・・・是非時間を作って映画館に足を運んでほしい作品。

★★・・・どの映画を見ようか迷っていたらお勧めしたい作品。

★・・・ほかにやることがなかったら暇つぶしにどうかな,という作品。

星なし・・・個人的にお勧めしません。好きでしたらどうぞ。

・リアルな種族格差と完璧な主人公のメンタル

どういう映画かと言えば動物擬人化ものです。もし動物が野生の本能を捨てて理性と社会性を得たら…という世界観。CGアニメーション映画が多数作成されるようになってから「アイス・エイジ」等々割と使い尽くされた感じのある動物擬人化ものですが,

本作のユニークな点は,社会性を持ってしまったがゆえに浮き彫りになる種族間格差がリアルに描かれている点です。

 

先にあげた「アイス・エイジ」でも動物間での体格差や,肉食・草食といった食性の違いによって生き物の間での序列が話のテーマに関わってきましたが,

「ズートピア」では「嘘つきに思われがちなキツネ」「大柄で正義感あふれる水牛」「権力の象徴につくライオン」等従来のファンタジックな動物のキャラクターを維持しつつ,(高度な文明を築けるくらいの)理性を持った動物たちという設定を忠実に生かし,警察には体格のよくこわもての動物,ウサギのような力の弱く小柄だが繁殖力のある動物は大規模農家などそれぞれに与えられた役割の中で働く様を描き,最終的に

「本能の退化によって社会性を持った結果,数で勝る草食動物の方が肉食動物より力を持った」というところまで踏み込んできます。

 

主人公のホップスがそんな種族間格差を乗り越え,夢の警察官になるために奮闘するところから映画は始まります。見始めたときは「ああーここから山あり谷ありの展開を通して努力していく感じカー,最終的に夢はかなう叶う的なヤツね」なんて斜に構えてみていたのですが,開始早々に主人公は努力によって警察官(しかも警官学校首席卒業)になってしまうからビックリ。

ここ最近のディズニーはずっとそんな感じですが,もう夢をかなえることは中途目標であってお話の大団円に持ってくるには古すぎるんだなーとか思いました。

実際は,夢の職業についてからどう働くかが大事ってところは時代の流れを感じますね。

 

お話の展開としては,挫折や相棒のニックとの友情をとおしてホップスが成長していく話なんですが,なにがいいってホップスがうだうだ悩まないことね。

最初から小柄で警官としてやっていくには難しい仲,首席まで上り詰めるので相当な努力の人,いやウサギなのですがそれにしてもへこたれない。

 

最近アメコミとか特撮ものばかり見ていた性でヒーローの苦悩みたいなのに若干飽きてたので,「自分に出来ないことは自分で考えて補う方法を見つける」「与えられたノルマ以上のことを成し遂げる」「悪いことしたらちゃんと謝る(許してといわない,自分のよくなかったことを謝罪するだけ←これ大事)」といった地味ながらもやれたらすごいことを着々とこなしていく様は懐かしくもあり新鮮味もある主人公像でした。

これだけ魅力ある主人公だと,どうしても展開の読みやすくなってしまうアニメーションでものめりこみやすいですね。

 

・社会性を持ってしまったことの悪いこと

先ほどもちょっと書いたんですが,この話は肉食動物が社会性のトップにそのまま入っているわけではありません。ズートピアは動物たちの楽園なので,表面上は「平等に」暮らせるだけの社会になっています。

 

お話の構成として2部構成となっていて,第1部が「ホップスが連続行方不明事件を解決して警官として認められる」まで,第2部が「連続行方不明事件の真の黒幕を捕まえる」になるのですがこの第2部の展開がオッと思わされるものでした。

 

第1部のオチが,本能がよみがえる肉食動物が出現し始めたために無用な混乱を避けて市長が監禁していた,というものだったのですがホップスの活躍にしてこのことが世間に知られると段々と肉食動物への懐疑の目が広がるようになります。

ここでミソになるのが「数だけでみれば圧倒的に草食動物の方が多い」こと。その割合実にズートピアの90%。本能化の原因がわからない以上,肉食動物への疑いの目は消えず彼らは段々と日陰に入るようになります。

こういう個の力が以下に強くても集団には勝てないというのが実に生々しいですねー

 

最終的には黒幕の陰謀だったことがわかり一件落着となるのですが,エンディングロールで流れる元市長の「正しいことだったとしても,やり方が間違っていた」という台詞が渋い。

 

元市長のライオンハートは無用な混乱をきたさないために本能のままに暴れる

肉食動物の市民たちを監禁していたわけですが,正当性のある方法じゃないとどんなにちゃんとした目的があっても認められないというのは現実も一緒で,起承転結のしっかりしたストーリーの裏にこういったリアリティが見え隠れするのがこの作品の魅力なのかなーとしんみりしました。

 

はずれのない優等生的な作品のなので人を選ばないのも魅力です。

是非,劇場でどうぞ。